2006年 12月 07日
前回予告させていただいた通り、今回は「NI Kontakt 2」のUniversal Binary版についてのご報告です。 ちょっと前までは大容量ライブラリー用のソフト・サンプラーと言えば「GIGA STUDIO」がその代名詞だったように思うのですが、「GIGA STUDIO」の場合、Windows機をまるまる1台専用機にしなければならず(その利点も多いにあるとは思うのですが)、CPUの高速化とともにプラグイン・インストが全盛になっていく中、徐々に「Kontakt」への関心が高まっていったように思います。 「Kontakt」を今の状況ほど盛り立てるのに最も大きかったのは、East WestやBest Serviceを始めとする主要なサンプリングCDメーカーが、Kontakt系エンジンを採用したソフトウェア・インストゥルメントを次々と発売していったことでしょう。 それまでGIGAライブラリーを数多く開発してきたメーカーがどんどんKontaktエンジンに移行し、中でもEast Westの「Quantum Leap Symphonic Orchestra」(EWQLSO)などは、「Kontakt」の知名を挙げるのに多いに貢献したように思います。 しかしこのIntel Macへの移行時期に来て、多少事情が変わってまいりました。 その原因は、NIが「Kompakt」と「Intakt」の開発を中止し、Intel Macへ対応させないことを発表したことにあります。 Kontakt系エンジンを積んだ3rdパーティーのソフトには、大きくわけて2種のプレイバック・エンジンが存在いたします。 まず1つは「Kompakt」です。 「Kompakt」を採用しているメーカーは、Best Service、East West、Zero-Gなどです。 もう1つは「Kontakt Player」です。 こちらを採用しているメーカーは、Art Vista、Best Service、Big Fish、Garritanなどです。 Best Serviceのみ、両者にまたがっております。 (左が「Kompakt」、右が「Kontakt Player」) NIは、後者の「Kontakt Player」に関してのみ、「Kontakt 2.1」のエンジンを継承しIntel Macにも対応した「Kontakt Player 2」を発表いたしました。 Best Serviceの「Chris Hein Guitar」やFixed Noiseの「OTTO」など、この「Kontakt Player 2」を積んだ製品が、早くも発表されています。 http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=28990 http://www.crypton.co.jp/mp/do/prod?id=28900 それでは「Kompakt」を採用しているEast Westなどソフトウェアは、Intel Macに対応するのでしょうか? 「Kompakt」自身のIntel Macへの対応が断たれた現状では、かなり不透明な部分です。 新たに「Kontakt Player 2」へ対応したソフトに変更してくれない限り、Intel Macには対応しないのかもしれません。 しかし、各ソフトウェアの大元である「Kontakt 2」がIntel Macに対応した現状では、回避策が全くない訳でもありません。 Kontakt系のエンジンを積んだソフトウェアの最も大きな特徴は、ソフトウェアのオーサライズ情報が、ライブラリーにも及ぶことです。 Kontaktエンジンのソフトに付属するライブラリーは、「Kontakt 2」でももちろん読み込み可能なのですが、そのライブラリーを積んだソフト側のオーサライズがされていない限り、ライブラリーも使うことはできません。 ライブラリーだけを「Kontakt 2」が入っている別マシンにコピーしたとしても、『オーサライズがされていない』という警告を受け、読み込むことができないのです。 となると、オーサライズさえきちんとできれば、East WestなどのKontakt系ライブラリーを、「Kontakt 2」の入ったIntel Macで使用できるかもしれません。 現状でEast WestのソフトをIntel Macにインストールしたとしても、Rosettaでの動作になるため全く使い物になりません。 Rosettaで動作しているソフトに対するオーサライズ情報を、Universal Binaryに対応した「Kontakt 2」で認識できるのでしょうか? 早速検証です!! 検証のためにEast Westの「Bosendorfer 290」を使用いたしました。 インストールと最新版へのアップデートは問題なく完了いたします。 そして「Bosendorfer 290」のオーサライズに関しては、NIの新しいオーサライズ・エンジンである「NI Service Center」を使用いたしました。 「Bosendorfer 290」自体はIntel Macに対応していませんが、「NI Service Center」でもオーサライズは問題なく行えました。 さあいよいよ「Kontakt 2」を立ち上げ、「Bosendorfer 290」のライブラリーを読み込んでみます。 結果は、、、読み込むことができました!! MacBook Proで検証を行ったのですが、ライブラリーをFireWireの外付けハードディスクに入れた状態で、かなりサスティン・ペダルを使ったりしても、問題なく鳴ってくれています。 これで「EWQLSO」などのライブラリーも、「Kontakt 2」を使うという前提が付きますが、Intel Macでも使うことができそうです。 もともと「Kompakt」はハードディスク・ストリーミングのCPU負荷が大変高いため、Kompakt系のソフトウェアをPower Mac G5などで使用していたとしても、「Kontakt 2」を導入することはかなりのメリットがあります。 Kontaktエンジンを採用した3rdパーティーのソフトウェアから「NI Kontakt 2」へアップできる、「Kontakt 2 クロスグレード版」というパッケージもございますので、現状では各社のIntel Macへの対応を待っているよりも、「Kontakt 2」を導入してしまった方が早いかもしれません。 http://www.midia.co.jp/products/ni/sampling_line/kontakt2/kont2_cross.html では「EWQLSO」などのPower Mac G5でもかなりのCPU負荷だった大容量ライブラリーを、「Kontakt 2」を使ったIntel Macで動かした場合、どれほどのパフォーマンスが出るのでしょう? 私はMacBook Proしか持っていないのでMac Proでの動作検証はできませんが、時間がある時に検証してみたいと思います。 それでは、また!
by uksound
| 2006-12-07 02:43
| ソフトウェア検証
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